2017年11月26日日曜日

「眠れない子どもたち」 11月19日ケースカンファレンス「この子の困りごとはなんだろう?」⑩ 



11月19日(日)午後は「この子の困りごとはなんだろう?」⑩でした。
学芸大学高橋智研究室、発達にアンバランスのある子どもの親の会「ひまわりママ」、障がい児の父親の会「黄金ネットワーク」、小金井市子育て・子育ち支援ネットワーク協議会の連携による(仮)「小金井市発達支援ネットワーク」が主催する「この子の困りごと・ケースカンファレンス」シリーズも3年目に入りなんと今回が10回目

今回のテーマは「眠り」。不登校の原因は様々あると言われていますが、朝起きられない子どもの困り感を探っていくと睡眠が子どもの生活・育ちに大きな影響を与えていると言われています。今回はそんな子どもたちの困りごとにフォーカスしてみました。
第1部は「子どもの眠りの困りごと」のケース紹介と困難解消のヒントについてのお話をスライドと学芸大学高橋智先生のお話でした。

第2部はケースカンファレンス恒例となりました「車座トーク」。子どもの発達には十分な睡眠が必要でも塾や習い事の負担、LINE等のSNS対応などで子どもの睡眠が削られてしまったり、日中の様々なストレスのフラッシュバックにより眠れない→スマホ依存→脳が覚醒して入眠困難・・・という負のスパイラルが与える影響を考える内容でした。こうした苦しい状況があるため朝起きれず、登校できない・・・不登校の原因の一つとなること。近年注目されている起立性調整障害(OD:Orthostatic Dysregulation)と診断されたお子さんのお話も聞かせていただくことができました
子どもの発達のためにも睡眠の質をしっかり考え、保護者が子どもの不安を受け止め、子どもの個別性と多様性を重視する必要があることを改めて認識することができました。

睡眠をテーマにして一体何人が参加してくれるのやらさっぱり予測ができませんでしたが、スタッフを除き20人近くの参加者があったことも大きな発見でした。今回も高橋研究室の先生と学生の皆さんには様々お手伝いをいただいたことにも改めて感謝です。

2017年11月24日金曜日

積極的な住民参加なしに防災力の向上はありえない    (総務企画委員会行政視察報告)

11月13日〜14日、総務企画委員会では新潟県糸魚川市(昨年12月の大火の状況とその後の復興まちづくりについて)と石川県小松市(自主防災組織ランクアップの取組)について行政視察を行いました。
市役所から日本海方向を臨む。中央は新幹線乗入れで高架化された糸魚川駅舎。火災被害は駅舎の北側の木造住宅が密集した中心市街地になります。

小松駅東口のコマツ本社に展示されている巨大なダンプ。歌舞伎十八番の名作勧進帳の舞台として有名な安宅の関が市西部海岸に位置しています。

大宮駅から糸魚川駅まではわずか1時間40分。北陸新幹線開通で首都圏が近くなり交通利便性が格段に向上しました。
 新潟県糸魚川市

駅北大火の概要と対応について 

昨年12月22日(木)10時20分頃出火した糸魚川駅北大火の概要とその対応の調査を行いました。出火原因はラーメン店の大型コンロの消し忘れ。全焼120棟、半焼5棟、部分焼22棟。焼失面積(被災エリア)40,000㎡、負傷者17人等々の大きな被害をもたらしました。


 低気圧が冬の日本海で急速に発達するときに発生するフェーン現象により気温18.4℃、湿度54.7%、最大瞬間風速27.2m/sの気象条件で出火し延焼・拡大したため、強風にあおられ火のついた木片が130m離れた家屋に飛び火する状況で、県、富山県から消防車等合計235台、活動人員は消防署・消防団合わせて1,887人が出動した。新潟県内ほとんどの消防本部のほか富山県、長野県からの応援を受けた。火災延焼中はやはり水利不足に陥り、建設会社のコンクリートミキサー車の応援を得て貯水槽への充水やスーパーポンパーによる1.7㎞もの長距離送水も行ったとのこと。壮絶な現場だったわけです。
糸魚川駅改札前正面の表示。このような歓待・お気遣いは初めての経験です。感謝です。
火災鎮圧後のボランティアの受入れは23日から始まり、被災した家屋からの思い出の品探しに延べ771人、支援物資の仕分け作業に延べ308人が関わった。火災後の復興まちづくり計画は29年8月に策定され、小学生含む市民参加での消防力強化、大火を防ぐまちづくり、糸魚川らしい町並み再生、賑わいの復活、医療・福祉・子育てサービスと連携した市営住宅の整備計画等が示されました


復興にあたって必要な被災者情報が一元化できずカルテ作りが遅れたことを反省点として振り返っていたことが印象的でした。大火後の復興計画として、①消防力強化 ②町の不燃化、延焼防止帯の形成 ③糸魚川らしいまちなみ再生 ④にぎわい拠点の創出 ⑤暮らしを支えるまちづくり ⑥大火の記憶の継承、の6つの重点プロジェクトからなる「市駅北復興まちづくり計画」を策定しています。また消防力強化の取組の一つとして大火の際も有効だったディスクストレーナーを消防団に追加配備したことなども参考にすべき取組と感じました。
南口駅前のモニュメントは、かつての糸魚川機関庫の壁面を移築復元したもの。この奥には大糸線で使用した気動車や鉄道ジオラマが展示されています。


火災の場合は地震とは違い徐々に延焼するため、住民は火が迫るギリギリまで避難せず自宅にとどまるため延焼拡大時に地域の町会、警察、消防などの機関が住民に対し繰返し避難誘導を徹底したとのお話も印象的でした。ただし自治会・町会加入率が低迷する小金井市の状況で、地域住民の「共助」の取組を活発にしていくことが大きな課題と感じました。

石川県小松市

自主防災組織ランクアップの取組

小松市では行政管理部防災安全センターが自主防災組織の担当です。あらゆる危機対応のための部署になります。
今回の視察は、委員会で行政視察テーマ選定する際に石川県小松市は防災組織率100%を達成し、防災力向上のため防災訓練ステップアップマニュアルを作成していることを知り、鈴木が委員会に提案した結果今回の視察となりました。
調査の結果、自治会・町会加入率が非常に高いことはあったものの、地域防災力を強化するため、市長のトップダウンで自主防災組織の組織率100%の実現に取組だこと。マニュアルに沿って組織の活動を評価しランク付けして、さらにランクアップを促していることがわかりました。小松市にも当然消防団が組織された上で自主防災組織があり、これとは別に自衛消防隊が組織されているとの説明にはただただ驚くばかりで、こうした取組の背景は?と問うと行政の根本に危機管理体制があること、事業個別の災害時の事業継続計画(BCP)が策定されているというお話を聞いて納得です。
お茶碗は九谷焼です。原料となる陶石は小松市内で産出されているとのこと。繊細な絵付けの技に伝統を感じます。
こうした取組を自助・共助・と鈴木の政策でもある「近助」の強化と、安全安心を守る組織・人・技術の育成という視点で捉えているところも見習うべきところと思います。ただし糸魚川市同様に、こうした取組のベースには自治会・町会加入率の高さがあるわけで、積極的住民参加なしに防災力の向上はありえないと思いますし、改めて小金井市の防災力の強化を考える時の最大の課題がこの点ではないかと感じた視察です。
新幹線へ乗換前のわずかな時間に金沢駅の駅前に出てみました。北陸新幹線開業時に話題となった巨大なモニュメントを見てきました。構造用木材集成材を使い伝統と革新を表現するデザインに見えます。


2017年11月11日土曜日

市役所窓口の新しいサービスのカタチを見てきました。(行政視察報告)

 ワタクシ鈴木が委員長をつとめさせていただいている庁舎及び福祉会館等建設調査特別委員会では10月30日〜31日に兵庫県神戸市東灘区と愛知県稲沢市の行政視察を行いました。
新幹線で西へ向かう時にチェックするのは世界遺産の富士山。列車が静岡に近づくと風下に雲をまとった姿を現しました。

兵庫県神戸市東灘区「新庁舎建設について」

敷地条件に合わせた設計、環境負荷軽減、防災対応も考慮した設計


 神戸市の行政区は9区。そのうち新庁舎の建設工事を行っている兵庫区と北区についてご説明いただきました。
 北区は駅前地区第2種市街地再開発事業により駅上の共同ビルへ移転する事業で、ビル4階からが庁舎でフロアごとにジャンル分けする設計。兵庫区は公園に面し消防署庁舎を含めた敷地内移転工事。こちらはフロア面積を多く確保できないため1フロア1課に整理し使い勝手を考慮するなど、建設条件に合わせたレイアウトの工夫がありました。また環境負荷軽減のための雨水や下水高度処理水の活用、直射日光対策の工夫は非常に参考になると感じました。

「転入・転出時におけるワンストップ窓口」

とにかくお客様を待たせない工夫に満ちたレイアウト

庁舎2階の総合窓口発券機回り。発券だけでなく案内カウンターで職員が来庁者を案内する。
2階フロアのレイアウト変更の設計は事務・文具メーカーによるもの。受付カウンターからソファ、カーペットのカラーコディネートセンスと来庁者動線に合わせたレイアウトがとても新鮮でした。
申請書は複写式6枚綴りで、何度も同じ内容を記入せずに済むような工夫が。
 総合窓口化するにあたっての庁内システムの改修はなし。市民課を中心に保険年金医療課と子ども家庭支援課の職員が相互乗り入れの形をとることで、繁忙期には多忙な窓口に各課の職員が応援に回ることで来庁者の待ち時間短縮の工夫しているところを拝見すると、現状の小金井市でも導入可能と思えます。ただし、レイアウト変更工事経費5,500万円はともかく総合窓口化対応職員の人件費のランニングコスト700万円を市民サービス向上の必要経費として整理できるのかが課題となると感じたところです。

愛知県稲沢市「福祉総合相談窓口」

机4台で相談者の複合的課題に対応し、庁内の福祉総合相談対策チームで支援策を提供する

たまたま庁舎にいらした加藤錠司郎市長と議場入口で。行政視察受け入れの御礼とご挨拶をさせていただきました。
 市役所庁舎は昭和45年に建設されたもので市民課窓口は3階までの吹き抜け構造の重厚な建物です。1階の福祉課の前面に委託した社会福祉協議会職員4名と机4台を設置して複合的課題を抱える相談者に対応し「福祉総合相談対策チーム」、「支援会議」で生活・地域・障がい・高齢者福祉グループと子ども子育て、健康課との連携を図ることで困難事例にも対応している点は、社会福祉協議会への委託を別としても小金井でも採用すべきと感じました。
手前の机4台が福祉総合相談窓口。この机の後ろ側が福祉課、隣が高齢者福祉、こども課というレイアウトになっている。
この日は社会福祉協議会職員は不在だったが、相談員のバックアップは福祉総合相談対策チームが行う。総合相談窓口化以降は児童相談所との連携が可能になったことにも注目すべき。
 小金井市でこの形態での導入を考えた時の課題と感じたのは、事業を委託した場合、社会福祉協議会職員と市職員との調整や打ち合わせが偽装請負とならないように契約上の整理が必要なこと。窓口担当者の専門性の担保も重要な点と思います。また学校教育や児童相談所、生活保護や権利擁護、生活困窮者支援事業部門との連携など、庁内の部・課をまたいだ連携をどのように動かしていくのか、これまで小金井市があまり得意でない庁内連携、専門家との連携をどのように図っていくのかも非常に重要なテーマになってくるのではと感じた視察でした。












2017年8月30日水曜日

市議会9月定例会は8月31日から



 明日8月31日から市議会第3回定例会(9月議会)が開会する。会期中に決算特別委員会を5日間開催するため会期は10月5日(木)の最終本会議までの長丁場となる。
今定例会に提案されている議案と日程日割票はそれぞれ下のリンクをご参照ください。
https://www.city.koganei.lg.jp/shisei/gikaijimukyoku/info/D0901010201700288.files/20170825144950.pdf

https://www.city.koganei.lg.jp/shisei/gikaijimukyoku/info/D09010102130555250.files/293hiwari.pdf

毎定例会ごとに議員1名1時間の持ち時間で行う一般質問は、1.来年の市政60周年に向けたシティープロモーション事業を展開しないか 2.小金井市の子ども発達支援事業の現状について 3.消防団員の確保について、市内大学等との連携の検討を始めないか の3項目行わせていただく予定で、9月5日(火)の午前10時に登壇する予定だ。
 市議会の模様は、本会議と全ての委員会審議がYouTube で生中継と日時を指定して再生することが可能になっている。
今定例会の一般質問は、議長を除く23名の議員が質問を予定している模様で、それぞれの議員が行う質問の様子についてもご注目いただければと思う。


2017年8月8日火曜日

障がい者の家族を支える「ケアラーズノート」


 
 小金井市で認知症の介護者家族の支援を行っているNPO法人UPTREE(アップツリー)代表の阿久津美江子さんにお話を伺った。アップツリーでは介護する家族を支えるため、経験者の話を聞くためコミュニティーカフェなどの居場所作りも行っている。高齢者介護をする上で重要な終末期、看取り期を迎える家族が最良の介護のあり方のため、家族の状況を可視化し、できることを家族で共有するための手帳が介護者手帳だ。
 この介護者手帳をお手本に「みかんぐみ」(すぎなみ重度心身障害児親子の会)とUPTREEが特別なケアを必要とする子どもとケアラーのために作成したのが「ケアラーズノート」だ。


認知症家族のための介護者手帳をもとにケアラーズノートを作成したNPO法人アップツリー代表の阿久津さん。
 高齢者介護と同じく子育てはひとりではできない。特にこどもに障がいがある場合はなおさらだ。ケアラーである母親ひとりで全て抱え込まずに、上手に周りを頼るための手帳がケアラーズノートだ。「ケアラーと家族の記録」の2冊1セットで構成されていることが介護者手帳との違いだ。介護者手帳が終末期を見通したものであるのに対し、ケアラーズノートは子どもの成長の記録でもあるため、子どもの未来の支援者に子どもとケアラーが過ごした日々を知ってもらうために「ケアラーと家族の記録」がついている。小金井でもこのような手帳を活用して障がい児保護者=ケアラーのための支援ツールとしての活用を検討すべきではないだろうか。
 

2017年7月14日金曜日

寄稿文は事実に反している


 上の画像は7月11日に発行された小金井新聞の記事である。ここに掲載されている稲葉孝彦氏の寄稿文「走り続けた16年」の記事に事実に反する記述があるため、本日、小金井市議会民進党として小金井新聞社に対し、以下の文書を掲載するよう申し入れを行った

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小金井新聞社 木内広子様

 貴社の「小金井新聞」7月11号に掲載された稲葉孝彦氏の寄稿文は事実に反する記述あります。
まず、当時の私たち市議会民主党が小学校給食調理業務の民間委託に反対をしていたという事実はなく、必要な民間委託は進めるべきとの立場です。
また、小学校給食調理業務の民間委託に関する意思決定過程において、寄稿文にあるような都議会議員(当時)から市議会民主党への指示や関与の事実もありません。
こうした事実無根の記事が掲載されることは、当時の担当市職員の皆さんの懸命なご努力や小金井市の学校給食を守り育てるためにご尽力されている市民、保護者や関係者の皆様を侮辱し、小金井市議会の信用を著しく損なうものであり、到底看過できるものではありません。
以上、申し入れます。
平成29年7月11日
小金井市議会民進党 鈴木成夫 
          岸田正義 
          村山ひでき
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2017年7月12日水曜日

「親は半生、きょうだいは一生」・・京都きょうだい会講演会に参加して

7月2日に大阪で開催された「第2回障害児者のきょうだいセミナー」に行ってきた

 フェイスブックでずっと前から気になって仕方がなかった京都、神戸、伊丹など関西地区のきょうだい会主催のセミナー。前日深夜まで都議会議員選挙だったのだが思いきって参加してきた。
 「きらり」(小金井市児童発達支援センター)の開設が決まるはるか前、当時の就学前障がい児療育施設のピノキオ幼児園の民間委託を諮問した児童福祉審議会委員だった頃、障がい児支援を拡充するなら家族や兄弟の支援が必要ではと言ったのだが、この当時の担当は「障がいの早期発見・早期療育のために家族が障がいの認知と受容するための家族支援はともかく、兄弟の支援?」といった感じだったのだ。しかし当時でもおとなりの国分寺市では療育施設が企画して兄弟姉妹を集めて兄弟姉妹を主役にしたお楽しみイベントを行っていたのだが・・・。
 その後数年が経ち、ピノキオ幼児園を発展的解消し、児童発達支援センター建設のための事業詳細計画検討の市民意見交換会を重ねる中でもあまり議論にはならず、現在家族支援や兄弟支援は行われていない。
 今回の講演会の内容は、自分自身、障がいある次男の「きょうだい」である4歳年上の長男との関わりについて考える大変興味深い内容だった。

 ※きょうだい会では、障がいある兄弟姉妹を持つ人を「きょうだい」または「きょうだい児」と呼んでいる。親や周囲の人がきょうだいを気にかけることを含めた「きょうだい」に着目した支援についての講演会でした。

親ときょうだいは違う


 第1部は同志社大学社会学部福祉学科実習助手の松本理沙さんを講師に迎えた講演会で、松本さんご自身も知的障がいの弟がいる「きょうだい」だった。
 障がいがある兄弟姉妹を持つきょうだいと親の違いについて、親は恋愛、結婚、出産などの人生経験を経て障がいある我が子と出会うことになるが、きょうだいはある日突然自分の兄弟姉妹の障がいと出会う(または判明する)という大きな違いがある。そのためにもきょうだいが経験する様々なできごとについて考えていく必要を痛感する言葉である。

きょうだいは忍耐強く、優等生になろうとする

松本理沙さんのお話

・兄弟に対し親や周囲は「家族」と一括りにし、きょうだいに親と同じ役割を負わせようとしてしまう傾向がある。
・親の態度が自分と障がいある兄弟姉妹と異なる時は兄弟姉妹が怒りや嫉妬の対象になる。
・親に負担をかけまいときょうだい自身が我慢強く優等生になる場合がある。
・障がいがある兄弟姉妹がいるために進学や就職など、進路決定する際にもきょうだいには相当な葛藤がある。
・障がいに関心を持ち、特別支援教育や福祉、医療分野に進路希望する場合がある。
・きょうだいとしての体験から生じる肯定的側面もあるが、きょうだい自身が良かったと思うことと、周囲が「良いこともあったでしょう」ということとは全く意味が違う。きょうだい誰もが障がいがある兄弟姉妹を肯定できるわけではなく、また思わなかったとしてもきょうだいは何も悪くない。
・きょうだいに対し、親が正論(のようなこと)を言われると、きょうだいは自分の本音を言えずにしんどい気持ちを溜め込んでしまう。

親は半生、きょうだいは一生

 このようにきょうだい当事者のお話を聞くと、親や周囲の何気ない言葉や態度が、障がいがある兄弟姉妹のきょうだいに与える影響は、親が考えている以上に大きいことがわかってくる。障がい者の家族の一生を時間軸で捉えると、通常は親が先に亡くなるわけだから、障がいがある兄弟姉妹ときょうだいの関係は、きょうだいが寿命を全うするまで続くこと、これをしっかりと親が考えておくことが兄弟姉妹にとっても重要なことがわかる。
・・・男子二人兄弟で、次男に知的・てんかん障がいがある父親としてはすべてが胸に刺さる言葉である。

「親心の記録」は将来の家族への贈り物

 下の写真は配布された「親心の記録」である。障がいがある我が子に必要な支援を事細かに記録して親亡き後の将来の支援者に伝えるノートだ。主に行政書士、弁護士、税理士の団体「一般社団法人 日本相続知財センターグループ」から寄贈を受け配布しているもので、当日の参加者にも配布されたものだ。こうした備えも将来のきょうだいの負担を軽くするものとして活用を考えていくべきだろう。

きょうだいどうしが、その思いを吐露する場が必要

きょうだい会の作り方

 第2部はテーマ別のグループワーク。今回鈴木は「きょうだい会の作り方」の11人のグループに参加した。
 ファシリテーターは弟が知的障害者のUさん。他の参加者は東京2人(鈴木含む)、広島、岡山、東大阪、香川、立命館大学の中国出身の教授2名など、皆さんがきょうだい支援に興味を持ち遠方から参加していた。
 他のグループには遠く北海道や宮城からの参加者もいて、このテーマへの関心が高さが分かった。

Uさんのお話

 Uさんは京都きょうだい会の中心メンバー。弟さんが入所していた施設きょうだい会に関わり始めたのが1971年(昭和46年)とのこと。(全国きょうだい会の結成は1963年(昭和38年))当時のきょうだいは親や支援者、施設にとっての都合のいいボランティア。親は施設の「いいなり」できょうだいの立場は顧みられることはなく、活動も施設内で完結していた。1983年に育成会(手をつなぐ親の会)と合流して地域での活動が始まったが、会の運営の負担が大きく、会報の発行なども2名だけで行っていた時期があったが、いずれ手が空いて会の活動に戻ってくる人のために活動を続けてきた。最近になり松本さんとの縁もあり、またSNSの活用で若いきょうだいや他の地域との交流が広がってきた。イベントや企画型の活動とは別に、きょうだい支援にはきょうだいが思いを吐露する場が必要、とのお話が強く印象に残った。  参加者は障がい者の兄弟姉妹のきょうだいが6人、鈴木と同じく親が2名。小児がんのサバイバーで小児がんのきょうだい支援を研究する大学院生、といった立場だった。きょうだいの方は会を立ち上げようと考えている方、福祉職に就いている方が多く、第1部の話はまさに現実なのだ。


アフタートーク

 場所を変えての懇親会でも、やはり参加したきょうだいは福祉職についている方が多かった。また障がいがある兄弟姉妹をすでに亡くしている方が複数いらっしゃり、こうした方がきょうだい支援に関わり続けていることも大きな驚きだった。Uさんもその一人だったのだが、ここにきょうだい支援の奥深さがあるような気がする。
 兄弟姉妹の障がいがあることで実に様々な葛藤があったにもかかわらず、高齢(失礼)になっても、当時一緒に活動した仲間が仕事から離れて手が空いた時に戻ってくる場所をなくしてはいけないと思い続け、現在も若いきょうだい会の運営支援に楽しそうに関わっていることも印象的だった。

生涯発達を支援するきらりの使命を見つめ直すタイミングは

振り返って、きらりの業務はこのままでいいのか

 今年10月で開設4年を迎えるきらりの運営は、開設当初の業務委託から指定管理に変わった。相談支援事業の利用者増により、予約から相談までの時間がかかってしまっている現状や、放課後等デイサービスの待機者の問題、就学時の相談支援体制も申し訳ないが現状ではまだ十分とは言えず、小・中学校の通常学級で支援や配慮が必要な児童生徒が増えている現状などもあり、開設当初は想定外だった様々な新たな支援ニーズが明らかになっているように思うし、今回お話を伺ったきょうだい支援もその一つではないかと考えている。
 18歳までの子どもの発達支援を行う施設の使命として、こうしたニーズに今一度向き合い、現在の利用者評価をもとに業務を検証し、ニーズに即した事業の再構築の検討を始める時期がそろそろ近づいているのではないか、きょうだい支援の必要性ということ以外でも、そんなことを考えた今回の視察だった。

2017年7月7日金曜日

新福祉会館は庁舎建設予定地に決定(本日の第1回市民検討委員会)




 本日開催された第1回新福祉会館市民検討委員会を傍聴した。用意された傍聴席の多くを市議会議員が占め、議会の関心の高さをうかがわせるスタートになった。
 この検討委員会は、10月4日に西岡市長が行った市長報告で庁舎と福祉会館建設計画がゼロベースに戻って以降、庁内検討が行われる中で設置された市民検討委員会だ。
 第1回目の委員会ということで市長挨拶があり、その後に委員、担当部局、市民検討委員会運営支援委託事業者の自己紹介があった。その後互選により委員長に根上彰生日本大学理工学部教授が、副委員長には金子和夫ルーテル学院大学教授が選出された。
 その後は委員会の運営や市民検討委を含めた建設スケジュールの説明と、本日資料として委員に示された(仮称)小金井市新福祉会館建設基本計画(素案)について、新施設整備の必要性、施設建設基本方針が説明された。
 個人的に注目したのは、基本方針の中に平成29年2月に厚生労働省の「我が事・丸ごと」地域共生社会実現本部が示した「「地域共生社会」の実現に向けて(当面の改革工程)が取りまとめられたことを社会的背景として取り上げていたことで、本委員会でこれまでとは違う新たな福祉のありようについての議論が行なわれることを期待したい。
 その後の素案に対する質疑応答では、委員会の進め方、庁舎の建設検討との関連性など、各論について様々な質問や意見、要望が出されたが、最終的には、「先に建設地を決め、適地であるか議論を行い、その後の議論に入ることが建設的」との意見に集約されたように思う。


 こうしたやり取りの後、委員長から蛇の目ミシン跡地を建設地とすることについての確認を求められたわけだが、委員会もこれを了とすることを最終確認し、第1回委員会で建設地が蛇の目ミシン跡地と決定した。
 今後のスケジュールを考えると、まずは建設地が決まって一安心である。本当によかった。
 市議会の方では11日に開催する全員協議会で素案の説明が行われる予定で、市民検討と庁内検討、議会への説明と特別委員会での審査が同時に並行して行われるため、担当部局の負担が過重にならないかが心配である。
 今後は9月に第2回委員会を開催し、最終答申は本年12月の予定だ。

生きづらさを救う居場所とは (発達障がい者当事者青年Rさんのお話を聴いて)

昨日の午前中は、公民館貫井北町分館で「コロナ禍を経験して考える 人と地域がつながる共生社会」講座でした。 7 月 23 日まで 6 回連続で様々な生きづらさを抱える当事者のお話しを聞く男女共同参画講座 の第 1 回目で、講師はこれまで 3 期にわたり小金井市地域自立支援協議会...